【技術者コラムvol.16】大気汚染防止技術

第1種/宮崎県延岡市/S.M

私が社会人になった昭和47年は日本は高度成長が始まっており、企業の生産活動が伸びていた。半面大気汚染や水質汚染の問題が起きていた。私は火力発電所の排ガスによる大気汚染防止の仕事を任された。燃料に含まれる硫黄が燃えると有毒な2酸化硫黄ガスになり大気に排出される。対策は2つあり、排煙脱硫法と高煙突法である。前者は排ガスにアルカリ液をスプレーするのだが、排ガスが冷やされるため、排ガスの再加熱が必要であり、また副産物である石膏が大量にできる。そのため後者を検討することになった。それには煙の拡散を計算する必要があった。当時は電卓さえもなかったが、幸い会社に大型計算機が1台あり、昼間は従業員の給与計算をしていたが、夜間に技術計算を引き受けてくれた。海外の文献から大気拡散の計算式を入手し、プログラムを作成した。現状の煙突の拡散を計算し、実測値と比較した。計算値と実測値がよく一致することが確認でき、新煙突の高さを計算できた。そして新煙突を建設することが決まり、若干であるが公害防止に寄与できてよかったと思う。