【技術者コラムvol.22】心と電気

第2種/埼玉県さいたま市/A.T

心の動きは電気の変化と似ていると思う。

電気は素人には見えないと思われているが、オシロスコープでその波形を観ることができる。

電気は交流の場合、通常きれいな正弦波である。

心も安定しているときは、穏やかな脳波を打っている。

ストレスに悩まされると、心も不安定状態となり刺々しくなったり、落ち込んだり、仕事や日常生活に支障を来す場合もある。

電気もノイズ(雑音)が入ると波形にギザギザと乱れを生じ、電気機器の作動に悪影響を及ぼし、正常な機能を発揮しない。

人はこんなとき、休養したり、リラクゼーションのために音楽を聴いたり、運動したり、それでも改善されない場合は薬を服用したりする。

電気の世界ではこのノイズを取り除くために、回路にフィルターを設けたり、リアクトルを設置したりして、波形の改善を図っている。

また、電気は電圧を基準にして、抵抗(R)のみの回路では電流と電圧の位相は同じである。

コイル(L)の入った誘導性回路の場合は電流は遅れ、コンデンサ(C)の入った容量性回路の場合は電流は進む。

このように、電圧と電流は遅れたり進んだりする。

 

人の心も、自分(電圧)を基準にして、相手(電流)は、うまく相性が合ったり、すれ違いが起こったり変化する。

相手を基準にした逆の場合も然りである。

人間(男女)が(電源)・(R)・(C)でできているとすれば、充電された男の心(C)は女に接すると放電し、女の(R)で消費され受け入れられる。逆も然りである。このような現象をくりかえし、エネルギーのやりとりが行われる。まるで、愛情のキャッチボールを行っているようだ。

すなわち、電気の変化は人の心の変化に似ている。

それは自然の中から電気を発見したのは人間であり、それを文明の利器として応用したからではないか。

そんな繊細な心ある電気に限りなく興味がある。

私は電気を学問として勉強したが、なぜ電気に興味があったのか最近わかったような気がする。