【技術者コラムvol.31】心のベクトル図
第二種/埼玉県さいたま市/A.T
人は困難なこと、不得意な場面に出会うと、普通尻込みしたくなるものである。
よほど強心臓の人は、そう思わないかもしれないが・・・
でもこんなとき、私にはできないなと思ったら多分できないであろう。
できたとしても、そんなにいい結果は生まれないだろう。
それは、最初から「できない」(マイナス思考)で考えているからである。
ベクトルでは、0を起点として、マイナスの力のみが働いている。
ここで考えを「できるかもしれない」(プラス思考)に変えると、プラスのベクトルが少しではあるが作用する。
すなわち、プラスのベクトルが若干飛び出し、マイナスの大きさが少し減少する。
ベクトルのプラスとマイナスの力関係(バランス)が変化する。
少しでもプラス思考を持って物事に挑戦することにより、問題解決にも可能性が出てくる。
このように気持ちの持ち方、考え方を少し変えるだけで状況は変わる。
私も以前は前者の考え方を持っていたが、近年では後者の考え方に変えて物事に対処することにより、案外うまく解決できるものだと痛感している。
だからと言って、プラス思考が何事においてもよいとは限らない。
マイナス思考だって大切なのである。
たとえば、文学、音楽、絵画など繊細な世界はプラス思考だけでは考えられない。
人の出会い、別れ、男女の機微、死などをテーマにした小説ショパンの「別れの曲」、ベートーベンの「田園交響楽」ライン川に眠る恋人を愛しむ「グリーンスリーブス」ミレーが描いた「病弱の妻の肖像画」、潤んで訴えてくるような瞳これらのしみじみとした感情を扱う分野では、マイナス思考がなくては成せない技である。
問題なのは「何も考えない」(私はこれをゼロ思考と名付けた)ことである。
プラスでもマイナスでもよいから、とにかく変化することが大切ではないかと思う。要するに、人間は感情を持った動物であるから、このプラスとマイナスのバランスを保つことが必要であり、それを兼ね備えた人こそ魅力的ではないかと思う。