【技術者コラムvol.32】先端医療に支えられて

第1種/宮崎県延岡市/S.M

私は60代までは健康で、入院や手術には縁がなかった。

しかし、70代になると、健康寿命という壁があり、その壁にさえぎられ、3度も入院・手術を余儀なくされた。

第一の壁は網膜剥離であった。

電柱が波打っているように見えたので、大学病院を受診し、すぐに入院・手術となった。

網膜剥離という診断で、手術は眼球をSF6ガスで満たし、その圧力で網膜を眼球に押し付けるものだった。

この手術により、視力が回復した。

第2の壁は心房細動だった。

仕事先で突然意識がもうろうとなった。

すぐに大きな病院に飛び込んだ。

診断結果は心房細動で、脈拍が180と高かった。

脈拍を落とす薬を点滴してもらい症状は落ち着いた。

医師はこの病気は繰り返すことが多く、やがて脳梗塞を起こすと言い、カテーテルアブレーション手術をすすめた。

そのアドバイスに従い、大学病院に入院し、手術を受けた。

足の血管からカテーテルを入れて、先端を心臓に到達させ、心房の悪い部分の筋肉を焼く手術であった。

おかげで、その後病気の再発はない。

第3の壁は前立腺がんである。

健康診断で前立腺がんの指標のPSAの値が高かった。

先端の診断技術をもつ病院で検査を受けた。

検査装置は超音波画像とMRI画像を合成して立体画像を生成するもので、日本には3台しかない装置だそうである。

この装置でがんが発見され、組織検査で確定された。

手術はダ・ヴィンチというロボットによる手術で、開腹手術と比べ出血や痛みが少ないとのことであった。

手術後はがんの再発や転移は確認されていない。

先端技術によりそれぞれ病気の治療が成功して、ありがたかった。