【技術者コラムvol.46】比例差動リレー動作・整流器不調修理の経験
第2種/千葉県千葉市/Y.K
1981年ころマレーシアで稼働したブリキライン 2003年ころ缶詰など需要の高まるベトナムへ移設する話があり 電気スーパーバイザー(SV)で現地へ行きました。
契約は 土建・据付・電源設備は客先手配 設備供給無しの 据付SV 及び 試運転立上げSVを受注工事もおわり試運転開始とともにホーチミンへ入りました。
日本からPLC, 直流レオナード, 整流器, 計装システム, 特殊計装 他メーカーSVが ピークで12名程度ついてくれました
当時ホーチミンは日本人学校がなく単身者ばかりのため美味しい日本食レストランが多数あり物価も安く食事にはことかきませんでした
結線チェック I/Oチェック モータ単独 手動 連動も順調にこなし無負荷でラインを徐々に100%速度まで上げて慣らし運転にはいり その間に昼食とっていると突如 全停電するトラブルが発生 22kV受電トランス比例差動の動作でした
トランスの内部故障が発生ならやっかいだと思いながら見ていました。
お客さんところも見ているだけで誰も治さないので電源は契約外でしたが22kV盤を開けて中に入り比例差動リレーの1次 2次念のためクランプで測定したところ明らかに電流がおかしく どうやら速度が上がり負荷電流がふえたところで動作した様子でした。
受電トランスBCTの結線がどうやら間違っていそうなので電気工事屋に調べさせたところ間違っていないと言い張りました。
どうやら移設前マレーで間違った結線で稼働させて調整していたものを 移設先で正しい結線にしたため 比例差動リレーが動作していたようでした。
昔 特高変電所受電直後 比例差動の設定を自分でやった際に勉強した経験が思わぬところで役立ちました。
その他 ブリキラインでは8000A程度のサイリスタ整流器12台で錫メッキを付けますが 長年酸性メッキ液の雰囲気が少し整流器電気室に侵入していたためか整流器制御不調が多数発生。制御用プリント板が10種類ほどあり 順次 予備プリント板と交換して様子を眺めました
ところが 隣の整流器でOKのプリント板が こちらの整流器へもってくると不調というのが 多発し頭が混乱 何が何だかわからなくなり どうしようかと整流器SVと話しながら日本とも連絡し1週間程度試行錯誤
結局10枚のプリント板を受けているマザーボード側の半田が部分的に割れて接触不良が判明 現地で補修しライン立上がり生産開始でき無事帰国いたしました。
刺さっているプリント板へ頭が行ってましたが 冷静に全体を眺めることが大切を痛感しました