【技術者コラムvol.50】大電流整流器での失敗談

第2種/千葉県千葉市/Y.K

2001年ころ上海でのプラントの立上げの目途もたち そろそろ帰国というときに その近くの会社で別のプラントを受注契約したとのことで たまたま近くに長くいたため 急遽キックオフミーティングに出ることとなりました。

プラントは洗剤のなかを鉄板を通して大電流を流して泡をつくりゴミや油脂などの汚れを除去するものです。

後日聞いたところによると契約直前担当者は8,000A  24V 2セットの整流器を有したラインでは 万一汚れが落ちなかった場合が怖く 電流に余裕を見ておくということで 8,000A 2セットを 12,000A 2セット へ単純アップを記載したようでした。

ところが試運転開始で2セット共に12,000Aが流れないことが判明しました。

洗剤の濃度は変えられないため 電極の形状・位置・セパレーターの形状などいろいろ変更しましたがどうがんばっても電流は2セット共に10,000A程度までしか出ませんでした。

理由をいろいろ考えましたが 結局単純にオームの法則で1.5倍の電流を流すには当然 電圧も1.5倍にあげなければなりませんが 電圧は増加させていなかったので最大電圧時の電流までしか流れないという単純なことでした。

幸い8,000A通電して品質検収はできているのでなんとかごまかして客先に検収をあげてもらい 本当に助かりました。

電気の基本中の基本 V = I x  R  を忘れ Iだけ1.5倍に増加させてもVを増加させておかないと  とんでもないことになるとつくづく思いました。