【技術者コラムvol.10】発想を生み出す思考回路
第2種/さいたま市/A.T
新しい発想は、どこから生まれてくるのか考えてみた。
世の中には、ノーベル賞を取るような画期的な発明をする人もいるが、それはある特異分野で、かつ偶発的な要因をもった事象が多い。田中耕一の発明にしても、たまたま試薬を間違えた結果、新しい物質を発見した。ただ凡人と違うことは、その違った現象をなぜだろうと考えたことにある。また、その物質を捨てないで大切に保存していたことにある。単なる偶然ではあるが、そこには「気づく力」があったからではないか。
斬新な発明ができる分野には、理学系の物理、化学に多い。工学の分野は、理学を実用的にしたものゆえ、その画期的要素には乏しい。そこで、工学にできることは何か。それは、「既存の理論の組み合わせ」である。
具体的には、電力の分野では、コージェネレーションがある。発電に伴って発生する廃熱を何とか利用できないものかと考えて、電気と熱の組み合わせを考えたわけである。両者のコラボレーションである。最近では、カメラ付き携帯電話があるが、これも、既にデジカメがあったが、いつも持ち合わせているわけではないので、いつも持っている携帯電話で写真が撮れたらいいなというところからの発想であろう。これも、携帯電話とカメラのコラボである。オフィスでは、コピー機とFAX、プリンターが複合されている。
ものが売れるためには、顧客のニーズに合っていればいいのである。どんな斬新なアイデアにしても、結局のところ、「既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」のである。その組み合わせに気づく力を身につければいいのである。それがアイデアなのである。
個人的には、人物画を趣味としているが、あるとき趣味のアクセサリーを創っている人と、第三者を通じてコラボをしてみないかという話しがあった。結局、実現はしなかったが、女性の絵とアクセサリーの組み合わせは、確かに成り立つと思った。
このように、身近な現象の中に組み合わせというアイデアは、無限に存在するのではないか。我々は、それに気づいていないだけなのかもしれない。それを気づけるように自己を磨いていかなければならない。