【技術者コラムvol.97】二胡とギターの出逢い NEW

第2種/埼玉県さいたま市/A.T

二胡の調べは、哀愁を帯びて切ない。

「二胡、君の優雅な音色に私の心は震えっぱなしだよ。

故宮の情景が浮かんでくるようだよ。」

ギターは二胡に語りかけた。

ギターは二胡を妹のように可愛く思った。

「二弦しかないのに、どうしてそんな音色が出るの?」

「弦を弓で擦るからよ。」

「そうか。」

「あなたは六弦もあって、トレモロという技があるでしょ。

あなたの奏でる“アルハンブラの想い出”は素敵だわ。」

「あれは、一本の弦を三本の指で弾くんだよ。」

「そうなの?」

「似ているところがあるんだなー。」

 

ギターは哀愁と共に情熱の調べ。

二胡とギターは、公園のベンチに腰かけていた。

夏の日差しは強かったが、

このベンチは木漏れ日の中で、

ときおり吹く風がここちよかった。

時間が止まったように静かだった。

このままこうしていたいな、とギターは思った。

ギターは二胡の笑顔としなやかな肢体が好きだった。

ギターは二胡に語りかける。

「二胡が好きだよ。こっちを向いて。」

「グオライバ」

「中国語、憶えたのね。」

二胡は恥じらいながら頷き、

ギターに身を寄せた。

 

こうして二胡とギターは恋に落ちた。

中国と日本の国境を超えたのである。