第2種/埼玉県さいたま市/A.T
二胡の調べは、哀愁を帯びて切ない。
「二胡、君の優雅な音色に私の心は震えっぱなしだよ。
故宮の情景が浮かんでくるようだよ。」
ギターは二胡に語りかけた。
ギターは二胡を妹のように可愛く思った。
「二弦しかないのに、どうしてそんな音色が出るの?」
「弦を弓で擦るからよ。」
「そうか。」
「あなたは六弦もあって、トレモロという技があるでしょ。
あなたの奏でる“アルハンブラの想い出”は素敵だわ。」
「あれは、一本の弦を三本の指で弾くんだよ。」
「そうなの?」
「似ているところがあるんだなー。」
ギターは哀愁と共に情熱の調べ。
二胡とギターは、公園のベンチに腰かけていた。
夏の日差しは強かったが、
このベンチは木漏れ日の中で、
ときおり吹く風がここちよかった。
時間が止まったように静かだった。
このままこうしていたいな、とギターは思った。
ギターは二胡の笑顔としなやかな肢体が好きだった。
ギターは二胡に語りかける。
「二胡が好きだよ。こっちを向いて。」
「グオライバ」
「中国語、憶えたのね。」
二胡は恥じらいながら頷き、
ギターに身を寄せた。
こうして二胡とギターは恋に落ちた。
中国と日本の国境を超えたのである。
