第2種/埼玉県さいたま市/A.T
「さあー。今日もがんばらなくてはね。」
太陽光パネルたちは陽光とともに一斉に目覚め、発電の準備にとりかかる。
ここは東北の、とある村の太陽光発電所で10MWの発電ができるので、メガソーラーと呼ばれている。
丘陵地帯の地形を利用して、数年前に建設された。
パネルは中国で造られ、この地に運ばれてきた。
「この間の風はすごかったね。大丈夫だった?」
パネルAはパネルBに語りかけた。二人は隣り合わせに設置されている。
「そうね。私も身の危険を感じたわ。必死で架台のしがみついていたのよ。ここは広いからパネルの数も多くて、吹き飛ばされて怪我をしたパネルもあるそうよ。メンテナンスの人たちが話していたわ。ときどき点検してくれるから安心しているわ。」
眼下には、ポツンと一軒家がある。
「ねえ。あの家、人が住んでいると思う?」
「そうだね。前は人の動きがあったようだけど、今は夜になっても明かりが点かないから、だれもいないのではないかな。多分この丘陵地の持ち主だったと思うけど、近年、太陽光発電には反対派がいて、その矢面にたっていたかもしれないね。」
メガソーラーは自然エネルギーの切り札の一つだが、環境破壊の視点から反対する住民も少なくないと聞く。
「ところで私たちが発電した電力は、どうなっているのかしら?」
「我々パネルの発電電力は微々たるものだけど、全部寄せ集めて変電所から電力会社に送られているんだ。既にある電力と混ぜて供給しているんだ。」
「あと、私たちの命はどのくらいあるのかわかる?」
「そうだな。一般的に20から30年と言われているよ。人間だったら働き盛りなのにね。」
「与えられた命を全うするしかないのね。この日本の地で。環境破壊とか言われないように精一杯働かなくてはいけないね。」
日が落ちて暗闇が訪れると、一日の仕事は終わる。
「今日も一日お疲れさま。明日また元気に発電できるようゆっくり休んでね。」
「そうだね。おやすみなさい。」
パネルたちは、遠い故郷に想いをはせながらそっと眠りにつくのである。
