1種不合格/鹿児島県鹿児島市/T.A
「令和の米騒動」で米の価格高騰が連日マスコミを賑わせている。前農水大臣ではないが私は米を買ったことはない。私の場合貰うのではなく生産している。私の実家は田舎の小篤農家であり先祖代々米を作って来た。我が家は田畑は多い方で近所隣の数倍あり戦後のGHQの農地改革対象となりかなりの田畑が政府に安く買い上げられそれまでの小作人に払い下げられた。しかしその後農業技師だった叔父が殆どを買い戻し近所隣の数倍の田畑があったが田んぼは2町歩‘(2ha)程度である。
今では2haの田は機械化で夫婦2人でも可能だが戦後から昭和30年代までは完全な手作業で作ることになる。その分値段も高く現在の10倍位の価格であった。米騒動前までは米は1反(1000m2)当り12万円位の売り上げとなるが当時は今の金額で100万円を超えていたようである。昭和29年から父の一番下の叔父は東京の大学に行ったが当時の仕送りが1万3千円で米1俵(60kg)ちょっとで工面でき農家が子供を大学に出せる時代だった。
ちょっとした篤農家だった我が家は私が物心ついた頃にはもう石油発動機と脱穀機があり不思議な機械に興味深々の私は発動機の隣で寝入っていたこともあったと聞いている。今は代掻きから脱穀まで全て機械でするが当時父は馬とそれこそ人馬一体となり多くの田を耕した。田植えは集落総動員で目印のついた綱を縦横張り並んで植えた。子供も田植え時は大事な戦力で私は縄張りや苗配りが仕事であった。
現在私は2反(2000m2)を作っているがトラクター(200万円)軽トラック(100万円)は必需品であり、田植え機(80万円)、稲刈り機(40万円)脱穀機(100万円)の稼働は年1日のみである。15年で減価償却するとしても年30万以上で2000m2の売り上げ24万円は減価償却さえできずこの面積では大幅な赤字となる。もちろん人件費は0円である。面積を増やすと今度は大型トラクター、大型コンバイン、籾乾燥機とそれを収納する倉庫(それぞれ数百万円)が必要となり採算は合わない。他に肥料代や殺虫剤等も必要で米作りで生計を立てるのは至難の業でましてや子供を大学などに出す事は不可能である。多くの農家は年金を貰いつつ趣味で作っているようなもので機械の借金のため働いている。米作りのコスト削減で海外産に対抗すべきとの声もあるが賃金の安い東南アジアや日本とはけた違いの耕作面積のアメリカ等に立ちうちできるはずもない。米が高騰していると言われるが昔に比べ米は極端に安くなっており生産者は現在の相場でも場合によっては黒字は厳しい。
