【技術者コラムvol.72】「考える力」の源泉は遊び心 遊び心の周辺を分析

第2種/埼玉県さいたま市/A.T

現代は「アイデア勝負の時代」とよく言われる。そもそも、アイデアとはどこからわいてくるのだろうか。皆大人になると、常識的考えを植え付けられ、そこから離れた考えをするな、というような教育をされてきたように思う。その常識的な考えからは、新しいアイデアは生まれがたい。アイデアとは、しがらみからはずれた自由な状態から生まれるからである。このしがらみとは、大人の常識である。

一方、子供のころを思い出すと、いろいろな遊びを体験したものだ。私の世代では、ものごころついた頃は、現代のようにモノがあふれていたわけではないので、何とか工夫をして遊んだものである。私が考えたのは、狭い敷地で野球をするにはどうすればよいか。普通のボールは飛びすぎるので、あまり飛ばないボールはないか。なかなかそんなボールはない。そこで、たまたま裂けてしまったゴムボールの使い道を考えた。そうだ。この中に布きれを入れて針と糸で縫えばちょうどいいかもしれない。できあがったそのボールを使ってみると、実にその飛距離が程よいのである。しばらくは、空き地で友人たちとこのボールで遊んだものだ。

大人になると、そんな子供の遊び心を忘れてしまう。いや、本当は遊びたいのだが、抑制されているだけだ。現代は激動の時代、今までのように決められた仕事を、こなすだけでは評価されない。仕事場では、必死になってアイデアを求めて格闘せざるを得ない状況下にある。当然ストレスもたまる。だから、童心に返ることも必要なのだ。本当は大人も遊びたいのだ。実は、この遊びの中にアイデアが潜んでいるのである。発想が豊かになるのである。

机上では、「静」の状態でリラックスできない。したがって発想が浮かびにくい。動く、歩くという「動」により脳は刺激され活性化する。私は通勤時、時間があれば、最寄り駅までバスに乗るところを歩くことがあった。浮かんだ発想はあとで時間ができたら、ノートに整理するよう心がけるのである。

大人になって、失いがちな童心に、たまにはかえって発想を豊かにしたいものである。そして「アイデアを生み出す力」を身につけて、「考えられる人」になろう。