【技術者コラムvol.86】生者の行進 NEW

第3種/東京都江東区/N.Y

私たちは世界と呼ばれる概念の中で生きている。

 

世とは時間の事であり、界とは空間の事を指している。

 

つまり、この空間で生きるものには寿命という時間的制限が設けられている。

 

この寿命が尽きる事を美しさで表現する民族が世の中に存在するのはご存知だろうか。

 

遠い異国の話などでは無く、紛れもない我々日本人である。

 

「花は桜木、人は武士」

 

桜はぱっと咲き散り際も潔い。

 

武士も己の正義に命を捧げる潔さが美しい。

 

これは命の散り際は儚くも美しくあろうとした武士道の精神である。

 

昔の人々は長くは生きられず、治安も悪かった。

 

常に死を意識した世界で必死に生きていたのだ。

 

しかし現代では医療が発達し、法が整備され、簡単に食べ物を手に入れられる長寿の時代になった。

 

我々は生きられるのが当然の世界で何となく生きているのでは無いだろうか。

 

そして死に際になると「若いうちにもっと○○をしておけば良かった…」と後悔する。

 

失敗が怖いからと何もしなかった末路が、死を意識せざるを得ない状態になってからの後悔なのだ。

 

本当に恐怖すべきは死では無く、死んだ様に生きていく事だと感じる今日この頃である。