第1種/宮崎県延岡市/S.M
私が入社した企業は昭和初期の操業で、配属先のN事業所には火力発電所が3カ所、水力発電所が7カ所、変電所や送電線もあり、電力技術を学ぶには恵まれた環境であった。
私はここで10年間電力の工事・維持・運用の仕事をした。
その後は電気技術を用いた装置開発の仕事を担当した。
定年が10年程先に迫ったとき、O事業所に転勤を命じられた。
丁度そのときに、O事業所では電気主任技術者が退職することになった。
有資格者は私しかおらず、私は兼務で電気主任技術者に選任された。
電気の仕事は実質A君が担当していた。
彼は40代でまじめで、技術も信頼できた。
私は彼に電気主任技術者の資格申請をするようにすすめた。
しかし彼はこれに賛同しなかった。
理由は責任を負わせられるのがいやだということであった。
私は何度か彼を説得した。
- このままでは電気主任技術者を外部から呼ぶこととなる。
- 保安規定に従って電気設備の工事・維持・運用を行っていれば罰則を受けることはない。
- 仕事は責任感をもって臨むべきである。
- 電気主任技術者の資格は定年後も有用である。
このようにして彼を説得し、彼はやっと重い腰を上げた。
あれから20年が経過し、最近彼と連絡を取ってみた。
彼は60歳の定年を過ぎていたが、再雇用され電力設備の仕事を継続しているそうである。
仕事はやりがいがあるとのことであり、安心した。
