【技術者コラムvol.01】SF6ガスについて

第1種/宮崎県延岡市/S.M

皆さんはSF6ガスについてご存じでしょう。

 

自然界には存在しないガスですが、電気絶縁性に優れ、ガス遮断器やGIS(ガス絶縁開閉装置)に使われ、電気技術者にとってはありがたいガスです。

 

これには意外な用途があり、これに救われた話をします。

 

10年ほど前の60代半ばの頃です。

普段両目を使っているので、気が付きませんでしたが、たまたま片目のときに電柱を見ると、直線のはずの電柱が波打って見えるのです。

 

あわてて眼科医を受診し眼底検査を受けました。

そこではよくわからないとのことで大学病院を紹介されました。

 

大学にはOCRという検査装置があり、眼球を横方向から撮影する検査ができるのです。

それによると、網膜(カメラのフィルムに相当するもの)がはがれて浮き上がっていることが判明しました。

診断は「網膜剥離」でした。

 

早速入院し、手術を受けました。

このときにSF6ガスが活躍するのです。

 

眼球には硝子体という透明の液体が詰まっています。

これを抜き取り、SF6ガスを封入します。

このガスは重いので、網膜を眼球に押し付けることができるのです。

 

ほぼ1日で網膜は修復されました。

その後硝子体が増えて自然にガスを追い出します。

 

私はSF6ガスのおかげで視力を回復することができました。