【技術者コラムvol.05】SF6ガスについて(2)

第2種/群馬県高崎市/K.M

SF6ガスが目の治療に使われているとは知りませんでした。

SF6ガスは無色で無臭、無毒なガスですが、環境への影響は非常に大きいです。

 

私は長年加速器の仕事をしてきました。

中でも静電型加速器は絶縁ガス中で数百万ボルトまたは数千万ボルトの電圧を発生します。昭和50年頃までの静電加速器の絶縁ガスには二酸化炭酸ガス(CO2、圧力<10気圧)が使われていました。今は六フッ化硫黄ガス(SF6、圧力6気圧程度)が使われています。このSF6ガスの登場で加速器本体は小型になり、絶縁ガスの充填圧力も低くなりました。

 

昭和時代から平成時代へと進みオゾン層の破壊や地球温暖化の問題が騒がれ、加速器の点検や修理のためにSF6ガスが充填されていた加速器タンクを開け閉めすると、少量ですが大気中に漏れてしまいます。SF6ガスの温暖化係数が23,900倍と大きく、例えば、1リットルのSF6ガスを漏らすと、環境報告書では23,900リットル(23.9m3)の温暖化ガスを放出したことになり、漏洩を抑えるのに苦労しました。

 

電気の安全だけでなく環境にも配慮しましょう。