【技術者コラムvol.04】ホーム分電盤の漏電ブレーカがおちたとき

第1種/広島県福山市/T.N

 

家庭にあるホーム分電盤の漏電ブレーカがおちたとき、どのように漏電箇所を発見し、問題を解決していくか考えてみましょう。

 

まず、ホーム分電盤の構成を簡単に見ていきます。

 

主幹ブレーカ(メインブレーカ)と複数の分岐ブレーカで構成されていて、主幹ブレーカには電力量メータを経由して送られてきた電源線が接続されます。

分岐ブレーカは、普通、100Vあるいは200Vで20Aのものがつけられています。分岐回路には、1階リビング、キッチン、2階寝室…などの行先が表示されています。

 

分岐ブレーカには配線用遮断器(MCCB)が使用されます。これは電気の使い過ぎによって大きな電流が流れるのを防ぎ、短絡(ショート)したときに落ちて電気を遮断し、配線を保護します。

主幹ブレーカにもこの機能があって、過電流を防ぎます。そうしないと、電気の引込口から電力量メータを経由して分電盤まで配線されている幹線ケーブルが、過熱して火災などの事故を起こす怖れがあるからです。

主幹ブレーカには、漏電を検出し電源を遮断する漏電ブレーカ(ELCB)が使用されます。

 

ホーム分電盤の主幹ブレーカ(ELCB)が落ちたとき、どうしたらよいでしょうか。

 

原因は次のどちらかです。

・電気の使い過ぎによる主幹ブレーカの過電流遮断 : 分岐回路の合計電流が制限を超えている場合

・どこかの場所で漏電が発生した : 漏電表示ボタンが飛び出しているので確認してください

 

原因が漏電による場合について、原因箇所を突き止め復旧していきましょう。

  • まず、すべての分岐ブレーカを切りましょう。次に、主幹ブレーカを入れますが、レバーの位置は途中で止まっていますから下までおろしてから入れてください。
  • これから、分岐ブレーカを1つずつ入れていきます。

・主幹の漏電ブレーカが動作しなければ、分岐ブレーカを入りにした回路に問題はありません。

・主幹の漏電ブレーカが落ちたら、最後に入れたブレーカの回路で漏電が起こっています。

漏電箇所が絞り込めました!

  • 最後に入れた分岐ブレーカを切りにして、主幹ブレーカとほかの分岐ブレーカを入れてください。

漏電ブレーカは働きませんね。漏電している回路以外は復旧できました。

  • 分岐ブレーカには行先が表示されています。漏電が起こっている回路の行き先を現場で調べていきましょう。

 

行先表示は大まかにつけられています。

1階リビングであれば、リビングの付近を調べましょう。電気が来ていないところを調べればよいです。リビングに近接している屋外のコンセントかもしれません。コンセントに差してあるものに水が侵入したり、故障したりしているかもしれません。

 

漏電が起こりやすいところは、水気のある場所、電気コードが損傷しやすい場所、家具などで日頃確認ができないコンセント、使用時に熱や衝撃が加わるような電気製品、古い電気製品などがあります。

 

漏電しているのがコンセントに差されている電気製品や、取り外し可能な照明器具などであれは、外せばブレーカも復旧できます。その場合は器具を取り換えるか修理を依頼してください。

 

原因場所が発見できない場合は、電気工事店に依頼してください。漏電箇所を調査するための絶縁抵抗計などを持たれているし、何らかの工事が漏電の原因となったことも考えられます。電気工事は電気工事士の有資格者でなければしてはいけません。

 

漏電箇所を突き止めるというテーマで、今回は、ホーム分電盤の漏電ブレーカが落ちたときについて述べました。

次の機会には、もう少し大きな高圧(6600V)で受電しているような事業所で、漏電箇所を突き止める方法について述べていきます。