【技術者コラムvol.09】静電気による発火事故

第1種/宮崎県延岡市/S.M

勤務する工場で大きな発火事故が発生しました。

燃えやすい原料をタンクに投入する工程でした。

 

原料は静電気が発生しないように、表面をエチルアルコールで湿らせ、ポリエチレンフィルムで包装しています。

エチルアルコールは水と同じく導電性です。

 

作業員は原料をもって、脚立を使ってタンクに上がり、フィルムをはがして、原料をタンクへ投入します。

そのとき、エチルアルコールが着火したので、作業員はあわてて逃げましたが、その後原料がはげしく燃えました。

作業員は無事でした。

 

この工程では以前は木製の架台を使用していたのですが、最近アルミ製の脚立に変更していました。

アルミの脚立には滑り防止のため、ゴム足が付いていました。

このため、フィルムを剥離したときに発生した静電気が逃げずに放電し、エチルアルコールの蒸気に着火したのです。

その後原料が燃えて大きな事故になりました。

 

木製の架台は水分を含むため導電性があり、静電気が逃げるのです。

 

この現象は表面電位計や絶縁抵抗計などを使用し、実験により確認しました。

静電気を発生する場所では静電気の逃げ道を作っておく必要があります。